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雑記

福島県三春町立三春中学校(平成28年度スーパー食育スクール事業結果報告書)

投稿日:

取組テーマ(中心となるテーマ:食とスポーツ)

震災後の食習慣・運動習慣の変化と食育を通した生活習慣の改善

栄養教諭の配置状況

栄養教諭配置人数1人

実践内容

事業目標

福島県の児童・生徒は、震災・原発事故後、放射線の影響により、屋外活動が制限され、運動不足による体力・運動能力の低下傾向が見られた。また、肥満傾向児の出現率も高い状況が続いている。本校も同様の傾向が見られ、さらに、生活習慣の変化等により痩身傾向児の出現率も高い傾向にある。本校では、平成27年度から生徒一人一人に運動量と摂取量との関係から、適正体重を自覚させる食育を行ってきた。平成27年度、本校の肥満傾向・痩身傾向児出現率については、次の通りである。

○ 肥満傾向児の出現率(目標値8~ 10 %)は、[4月11.4 %→9月10.6 %]と目標値には、至らなかったが0.8 ポイントの減少傾向が見られた。特に、1年生男子(- 1.6 ポイント)2年生女子(- 3.4 ポイント)が減少に転じ、他学年は男女とも変化がなかった。

○ 痩身傾向児の出現率(目標値1~2%)は、[4月3.6 %→9月5.8 %]と2.2 ポイントの増加傾向にある。特に、2年生男子(+ 7.8 ポイント)全学年女子(+ 1.7 ~ 3.4 ポイント)は増加した。

本年度は、昨年度の取組「自己の実態の自覚」に、下記にあげた平成27年度の新体力テスト総合評価の結果(段階別取得率)において、男子の体力・運動能力が女子と比較して大幅に落ち込んでいることから、体力の向上を図りながら望ましい食習慣の形成を目標とした。

○ 男子(%) A 6.3 B 20.1 C 36.5 D 24.9 E 7.9
○ 女子(%) A 54.2 B 28.6 C 13.7 D 3.6 E 0.0

また、保健体育科において、年間を通じて体力・運動能力向上につながる身体運動プログラムに取り組ませ、生涯を通じて心身の健康と体力の維持増進に努める自己管理能力の育成と、家庭における食生活の改善も含めた望ましい生活習慣の育成を目指した。

評価指標

○ 身体測定(身長、体重)から算出した肥満度○ 食生活に関するアンケート調査結果
○ 体組成計で測定された体脂肪率、筋肉量、骨格筋率
○ 活動量調査により、目安となる活動量と消費量
○ 目安量記録法(学校給食を目安量として家庭の食事を量的・質的側面から可視化を図り推定エネルギー量を試算)による食事調査

結果

○ 食事摂取基準に基づいた栄養管理状況
○ 新体力テストにおける総合評価上位者数評価方法肥満傾向児又は痩身傾向児と食生活状況調査をクロス集計し、生徒一人一人の体組成・食習慣の課題を提示し、改善への行動化を図り「適正体重」の生徒数の増減を評価する。

① 体組成の把握について

・体組成計を活用し、保健指導の中で個々のデータと課題を「自分手帳」に記載させ把握

② 運動量と給食を基準とした基準目安量について

・食生活状況調査と活動量の相関関係と必要エネルギー量と消費量のバランスから評価

③ 食事の内容について

・技術・家庭科や学級活動の学習を通して、必要な栄養素の質的改善からの評価
・技術・家庭科において、栄養素と摂取量を考慮した望ましい食事の献立作りからの評価

④ 望ましい生活習慣・食習慣について

・保健体育科の学習を通して、消費量の目安の把握と運動量の把握
・保護者を対象にした給食試食会を通して、家庭での望ましい食生活、食環境の形成

⑤ 生徒の意識化について

・食に関する指導後の調査結果の変容による評価

⑥ 生徒の行動化について

・食に関する指導後の適正体重の増減による評価
・運動能力調査結果の把握による評価

 

評価指標を向上させるための仮説(道筋)

福島県では、震災・原発事故後、放射線の影響から、屋外活動の制限により運動不足、体力低下が見られ、肥満傾向が続いている。本校では、肥満傾向児の出現率が10 %前後である。一方、女子には痩身傾向が見られ、痩身傾向児の出現率は全国と比べ全学年女子1~3ポイントと高い状況である。また、2年生男子の痩身傾向児の出現率は4月0%から9月7.8 %と突出している。以上のような実態から、
① 発育状況や食生活状況調査、活動量調査の実施により、自己の課題を自覚すること。
② 保健体育科で、基礎代謝量を把握させ、運動量と食事量の目安を実感させること。
③ 食と健康に関する正しい知識を身に付けること。
④ 保健体育科の活動を中心に、生徒の実態に応じた身体運動プログラムの作成とその実践を行うこと。
⑤ 望ましい運動習慣も含めた健全な食生活を実践していくこと。
⑥ ①~⑤の実践について、外部専門機関と連携し、指導・助言をいただく機会を設けること。

そこで、具体的な取組については、
【取組1】食生活の実態と発育状況、体組成計から消費エネルギー量を算出し、生徒一人一人の食に関する課題、適切な運動量を提示することで意識化を図る。
【取組2】意識付けを促すための具体的な取組として、学校給食を基準目安量(Portion size)とし、適切な消費エネルギー量を運動量と食事量との相関関係から自覚させる。
【取組3】保護者を対象とした給食試食会及び食に関する講演会等を行うことで、生徒個々の食事量(基準目安量)、消費エネルギー量、運動量を家庭でも把握し、家庭の食習慣を見直す取組を行う。
【取組4】「自分手帳」(注1)の活用を図り、運動能力調査(新体力テスト)の結果分析や発育状況調査、活動量調査等各種データから個々の実態を把握させる。さらに、保健体育科の学習で年間を通して身体運動プログラムを実践し、消費エネルギー量の目安を把握させ、体力の向上を図ろうとする意識を育てて行動化を促す。
【取組5】学識経験者の講演会などを通して、生徒自身・保護者の生活習慣や食習慣に関わる意識を高め、生徒の望ましい生活習慣・食環境の整備を図る。上記の取組の実践から、「健康と運動」「食と栄養」など、望ましい生活習慣を確立することで、「適正体重」の生徒数の増加が期待できる。また、長期的な実践、検証、評価によって成果・調査分析が必要なことから、
【取組6】長期の実践と実績を基に実践プログラムを構築させ、一般化を図る。
以上の取組により、本県の抱える運動体力・食習慣の課題解決の指標となるものと考える。
※注1:福島県内の小学校4年生より配付。自分の健康や体力、食の状況を小1から高3まで記録。

 

実践内容

○具体的な取組

【取組1】食生活の実態の把握と発育状況、体組成計から消費エネルギー量を算出し、生徒一人一人の食に関する課題、適切な運動量を提示することで意識化を図る。

《生徒の実態調査と把握及びデータ分析》
○ 栄養教諭、養護教諭、学級担任の連携
年3回(4月、10 月、1月)身体測定の結果から食事摂取基準の算定と評価を実施し、肥満傾向児・痩身傾向児の出現率の実態を把握した。
・養護教諭による保健指導を通して、個々の課題を「自分手帳」に記入させ、実態を把握させた。
・学級担任と協力し、生活習慣も含めた「食生活に関するアンケート」を実施し、生活様式の把握と食への興味・関心など意識化を図り、生徒の変容の把握に努めた。
・生徒一人一人の生活活動の実態を把握するため、ライフコーダ(生活習慣記録機)を用いて活動量調査を年2回実施し、データ化して分析した。
・生徒の活動量調査結果を基に、個に応じた栄養管理と食に関する指導を実践した。
○ 郡山女子大学と連携
・体組成計を活用し、体脂肪率、筋肉量、推定骨量のデータを分析した。
・学校給食を基準目安量(portion size)として、家庭の食事を目安量記録法で量的側面、質的側面から可視化、さらに一日の推定エネルギー必要量を算出し、データを基に食に関する指導を行った。
・食生活に関する意識調査の内容・方法・分析を実施し、課題を明らかにした。
○ 三春中学校区学校保健委員会との連携
・小中学校の課題を明らかにして、学校医、町保健師から指導・助言の場を設けた。

【取組2】意識付けを促すための具体的な取組として、学校給食を基準目安量(portion size)
とし、適切な消費エネルギー量を運動量との相関関係から自覚させる。

《アンケートや調査の実施と実態を基にした食に関する指導》

○ 年間を通じて「食育だより」を発行
・栄養教諭から、給食の献立をもとに望ましい食習慣について掲載した。
○ 総合的な学習の時間における学級担任と栄養教諭による授業実践
・身体測定と体組成計のデータを活用し食習慣の改善を図る授業を実施した。
・「自分手帳」に授業の学習内容や感想等を記入させ、自覚化を促した。
*1年「生活リズムは朝食から」
*2年「スポーツと食事」
*3年「バランスのよい食生活」
○ 保健体育科における体力・運動能力向上につなげる取組
・保健体育科で、年間を通じて体力・運動能力向上につながる身体運動プログラムを実施し、運動別にライフコーダによる活動量調査を行い日常的に運動量と食事量を調整できるよう行動化を促した。
・自覚化を促し、データの蓄積化するために「自分手帳」への記載と活用を図った。

【取組3】保護者を対象にした学校給食試食会及び講演会等を行うことで、生徒個々の食事量
(基準目安量)、消費エネルギー量、運動量を家庭でも把握し、家庭の食習慣を見直す取組を行う。

《望ましい食育環境の整備を狙いとした家庭への啓発》
○ 家庭との連携
・保護者対象の「給食試食会」を開催し、該当生徒の基準目安量の学校給食を試食してもらい基準目安量(portion size)として、食事の推定エネルギー必要量を説明し、食生活の改善に生かした。
○ PTAとの連携
・親子料理教室や食育講演会を開催し、望ましい食習慣や食環境の整備
*「成長期における栄養摂取と三春中学校の学校給食」講師郡山女子大学准教授
*「バランスのとれた食生活とは」講師桜の聖母短期大学教授

【取組4】「自分手帳」の活用を図り、運動能力調査(新体力テスト)の結果分析や発育状況調査、活動量調査等の各種データから個々の実態を把握させる。さらに、保健体育科の学習の中で年間を通して身体運動プログラムを実践し、消費エネルギー量の目安を把握させ、体力の向上を図ろうとする意識を育て行動化を促す。

○ 保健体育科の学習を通して、自分の消費エネルギー量の目安を知らせ、進んで体力の維持増進を図ろうとする意識を育てた。また、年間を通して身体運動プログラムに取り組ませ、身体を動かす楽しさを体験させ行動化を図った。
・食生活状況調査の結果や活動量調査や、発育測定と体組成計のデータ、活動量調査による基礎代謝量と消費エネルギー量から目安の運動量と食事量・給食を基準とした基準目安量等の情報を「自分手帳」に記録させ、望ましい生活習慣について思考させた。
・保健体育科で活動量調査を行い、個々の消費エネルギー量の目安として把握させた。
・保健体育科の取組として身体運動プログラムに「ダンス」を取り入れ、楽しみながら体を動かす活動を実践した。特に、ダンスは、自己表現力の育成やリフレッシュ、友人との連帯感、達成感等、心身ともに充実感満足感が得られる効果があった。さらに、部活動や他の表現活動へと広がった。
・新体力テストの課題を解決するために体力向上用の運動用具(投てきロケット、ジャンボゲームボールなど)を使った身体運動プログラムを実践したことにより、昨年度より、若干の改善が見られた。
・身体運動プログラムの取組の結果、新体力テストでは、昨年度より男子のAB判定の生徒が若干増えた。(26.4 %→ 26.8 %)
・給食の献立を基準とした栄養素と望ましい食事内容について、「食育だより」や本校のHPを通して生徒・保護者に情報提供を行った。

【取組5】学識経験者の講演会を開催するなど、生徒自身・保護者の生活習慣や食生活に関わる意識を高め、生徒の望ましい生活習慣・食環境の整備を図る。

○ 学識経験者と連携し、本校の課題に沿った「食と健康」についての講演会
・家庭での食への意識を高め、生徒の望ましい食環境の整備を図るための専門家を講師に食育講演会を開催した。
*「学校給食が教育に果たす役割」講師実践女子大学教授

【取組6】長期の実践と実績を基に実践プログラムを構築させ、一般化を図る。

《本事業の評価と検証》
○ 一連の食に関する指導を通して、食に関する課題への意識が高まり、改善への行動化が図られることで、「適正体重」生徒数の増加を検証する。
《本事業の実績を基にした実践プログラムの構築》
○ 学校公開による研究発表や県教委主催による栄養教諭食育推進研修会を開催した。また、実践の成果をリーフレットにまとめ、県内の小中学校に周知した。
○ 検証、実践評価には長期的な取組と調査分析が必要なことから、複数年、本事業に取り組み、実践プログラムの一般化を図っていきたい。

成果

・肥満傾向児の出現率が高かった1年生では、食生活状況調査の結果から課題を見出し、総合的な学習の時間(「生活リズムは朝食から」)及び給食指導を実施した。その結果、男子の肥満傾向児の出現率が16.9%から11.1%に減少した。また、女子の痩身傾向児の出現率は12.3%から9.3%に減少した。
・2年生では、体組成計を活用し個々のデータに基づいた総合的な学習の時間(「スポーツと食事」)及び食事摂取基準を活用した給食指導を実施した。その結果、女子の痩身傾向児の出現率が5.5%から3.7%に減少した。
・3年生では、ライフコーダでの活動量調査を行い、食事バランスガイド及び各自のデータを活用した総合的な学習の時間(「バランスのよい食生活」)を実施した。その結果、生徒は自己の課題を把握し、活動量の見直しや食生活の改善につなげることができた。

スーパー食育スクール事業の取組状況の情報発信
学校のホームページ内に「食育のコーナー」の専用フォルダを開設し、随時情報を発信している。また、毎月「食育だより」を発行し、望ましい食生活の在り方や中学生として必要な栄養素、簡単レシピの紹介等、生徒・保護者等に対して情報を発信している。

今後の課題

年間3回身体測定の結果から、全校生の肥満傾向児の出現率は、4月9.4 % から1月9.7 %と増加傾向(+ 0.3 ポイント)が見られた。1年生男子は5.8 ポイント減少したが、2・3年生男女は0.2 ~ 4.7 ポイント増加した。一方、痩身傾向児の出現率は、4月6.0 %から1月4.4%と減少傾向(- 1.6 ポイント)となった。特に、全学年女子が1.8 ~ 5.0 ポイント減少した。3年生の肥満の増加や痩身の減少は、部活動引退後、活動量が減ったことが関係していることから、保健体育科と連携し、運動量を増やすため授業の導入で身体運動プログラムに取り組んだ。
次年度は、年間を通して全校生でヒップホップダンスを取り入れるなど、活動量の増加を図り、栄養教諭、養護教諭や学級担任と連携し、肥満や痩身傾向児への個別支援体制を整えたい。また、食習慣の改善には家庭の協力が不可欠なことから、家庭との連携をさらに深めた食育に効果的な実践を創出したい。

 

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/08/15/1389285_001.pdf

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