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栄養管理 給食時指導

給食を残すことを許さない「給食ハラスメント」について考える

更新日:

平成29年9月に岐阜市の市立小学校で50代の教諭が、偏食の多い児童にスプーンで口元に運ぶなどして、給食指導を行った結果、児童が嘔吐などをした事件が明るみになりました。

 

参考 産経新聞 「給食残さず食べなさい」…完食指導で児童5人嘔吐 50代教諭を厳重注意処分 岐阜市教委
http://www.sankei.com/west/news/170926/wst1709260040-n1.html

この教諭の例に限らず、行き過ぎた給食指導のために「学校に嫌い!」と悩んでしまう子どもも多いはずです。

世の中にはセクハラやパワハラといったいろいろなハラスメントがありますが、今回は「給食ハラスメント」について考えます。

そもそも給食は「半強制」に食べさされるものと認識する必要がある

家庭では苦手なものが登場しなかったり、食べやすく調理したりして配慮されているものもの、給食では「集団を対象」としているため、味付けがあわなかったり、食べ慣れていないものだったり、家よりも量が多かったりします。

日本では「みんなと同じ」が大切なので、「みんなと同じものをみんなと同じように全部食べる」ことを強要されています。

みんなと同じようにできない(食べられない)子どもはみんなと同じようにできる(食べられる)ように、教師が助けてくれます。(!)

給食ハラスメントの例

教員に無理やり食べさせられて不登校になってしまった

岐阜市の例がこれにあたります。

給食委員会(食育委員会)で、「残食を減らそう」というテーマが決まる。

残食が少ない順にクラスを表彰します!と告知される。

給食委員会(食育委員会)がクラスごとに残食を測る。

という流れでも、学校全体で「残すのは悪」というキャンペーンであり、食べられるものが少ない子どもや、少食の子どもは「悪」になってしまい、給食ハラスメントにあたります。

班の全員が残さず食べられたらシールをもらえるという取組

給食を食べられない子どもにとっては同級生からプレッシャーをかけられ、場合によっては責められるきっかけになります。

やんちゃな小学校中学年くらいだと「○○のせいでシールもらえなかったよ!」とドッジボールの的にされてもおかしくありません。

給食をきっかけに対人関係が悪化する給食ハラスメントです。

苦手なおかずを食べ終わるまでデザートを食べてはいけない

食べたくないものを食べないと、おいしいデザートが食べられないということは、おいしいデザートをあきらめたら食べたくないものを食べなくてもよいことなのでしょうか。
楽しい食事を不快にする行為は給食ハラスメントです。

そもそも教員は「給食指導の研修を受けていない」

給食指導の方法を教えてもらわないまま、教員として給食指導を行うので、自分が受けてきた給食指導が基準になってしまいます。
さすがに現在では「給食を食べるまで昼休みなし。」「放課後まで給食を食べさせられた。」みたいなことはないとは思いますが、どのように給食指導をしたらいいのかは教員に任されます。

なんとなく食糧事情、感謝の気持ちなどで残してはいけないという気持ちがあって、

残食を減らそう。

食べたら誉めよう。

食べたらシールをあげよう。

みんなで協力したいから班活動にしよう。

となるのは自然な流れなのかもしれません。

そのため給食ハラスメントを受ける子どもは一向に減りません。

「給食ハラスメント」にならない給食指導の方法

無理やり食べさせない

栄養バランスが・・・、作ってくれた人に感謝・・・、残食を減らす・・・、などといった一方的な理由で無理やり食べさせません。

食育で一番大切なことは栄養バランスではなく、生産者への感謝ではなく、「楽しく食べること」です。

まずは楽しく食べることを子どもにしっかり感じてもらいましょう。

たくさん食べている子どもを褒めない

おかわりをたくさんしたり、毎回ぺろりと完食する子どもはみていて気持ちがいいものです。
しかしそういった子どもを過剰にほめると、

たくさん食べる=褒められること=正しいこと

と子どもが思ってしまい、逆の

少食=褒められないこと=悪いこと

と子どもが思ってしまいます。

「きれいに食べているね」「良くかんで食べているね」など誉め方を考えてみるといいかもしれません。

現に日本人は食べ過ぎにより国民の1/3が生活習慣病(と予備軍)です。

肥満を助長してはいけません。

 

みんな一緒だと思わない

身長も体重も、見た目も違うように、胃袋の大きさや、食べるスピード、量、好きなもの、嫌いなものも違います。

「みんな食べているから食べて当然」という考えは個人を尊重しない行為であり、教員の資質を疑ってしまいます。

「他人の嫌がることはしてはいけません」というセリフを自分に投げかけてみましょう。

子どもの嫌がることはしてはいけません

ひとりひとりが食べている姿をちゃんと見る

全体としての学級の残食量を見るのではなく、子ども一人一人を見ましょう。

教員としてできることは食べさせることではなく、理解してあげることです。

食べられない理由を理解して、どうしてほしいか理解して、どうすれば「楽しく食べることができるか」理解しましょう

 

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