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欠席者の牛乳は残食に含む!?学校給食の残食率について定義から考えてみる

更新日:

小学校や中学校では給食の残食(残菜)調査が行われることがあります。
しかし実情では調査することが目的で残食が多い=悪、残食が少ない=良 という漠然としたイメージしか持たれていない場合が多いです。

目的や指標の意味をしっかり確認することにより、正しい「残食率」を認識することができ、食育に生かすことができます。

残食率の目的から残食率の意味を考える

残食率は何のために調査するのでしょうか。
給食作成者目線では子どもの口に合っているかどうかという嗜好調査、量が適正かどうかという提供量調査が考えられます。

嗜好調査・提供量調査の観点からの残食率

残食率が高い場合

  • 給食の味が子どもに合っていなかった
  • 提供量が多すぎた
  • 子どもにとって食べにくいメニューだった

残食率が低い場合

  • 給食の味が子どもに合っていた
  • 提供量が少なすぎた
  • 子どもにとって食べやすいメニューだった

この観点で行う残食調査では、欠席者分の提供量は分母に入れるべきではありません。

欠席者が多い学級を想像してみるとわかりやすいと思います。

欠席者が多いため、残食が増えた場合は、給食の味が子どもに合っていたり、提供量が適切だったりしても残食が増えます。残食率の分母に欠席者分を入れると本来の調査目的である「嗜好性」や「提供量」の評価ができません。

 

学級経営・学級評価のための残食調査

残食率が高い場合

  • 学級経営がうまくいっていない
  • 給食の配膳方法に問題がある
  • 子どもがおかわりをしたがらない
  • 給食を残すことに抵抗がない
  • 担任が食べることに興味がない

残食率が低い場合

  • 学級経営がうまくいっている
  • 上手に残らないように継ぎ分けている
  • おかわり等のシステムが構築されている
  • 食べる子どもが残りを食べている(肥満の助長)
  • 食に関して熱心な学級である
  • 給食を残せない環境である

この観点で行う残食調査では、欠席者分の提供量は分母に入れてもいいかもしれません。

欠席者が多い学級を想像してみるとわかりやすいと思います。

例えば35人の学級で、欠席者が10人のクラスだとします。
通常なら牛乳が10本あまりますが、残食調査の結果、残本数が0本だった場合は複数本飲んでいる児童がいる可能性が強いことがわかります。

そのような学級には飲める子どもが2本飲んでいるのか、1人で5本飲んでいるのか、詳しく調査する必要があります。そのような学級は「残食0」に担任がこだわっている場合が多く、肥満を助長している場合があります。

残食率は低い方がいい?

一般的には残食率は低い方がいいとされます。

残食率が低い方がいい理由

  • 作ってくれた人に感謝。
  • 給食はバランスよく作られているので残さず食べると栄養ばっちり。
  • みんな食べているから食べるのが当然。
  • 世界には食べることに困っている人がたくさんいる。
  • 日本は輸入しているのに廃棄が多い。食品ロス。

しかし盲目に残食率が低いからといって喜ぶべきではありません。

その低い残食率の理由も知る必要があります。

残食率が低い裏に潜んでいる問題

  • 担任が残食0にこだわっている
  • 少食の子どもが悪者にされている
  • 偏食の子どもが悪者にされている
  • 苦手なものを残すこと(減らすこと)をゆるされない環境
  • 食べる子どもにさらに食べさせて肥満を助長している

現に「給食が嫌で学校に行きたくない」という子どもは一定の割合でいることを無視してはいけません。

教員側の視点だと「がんばって食べられるようになって、給食を好きになろうね」といった感じでしょうが、
ほんとに食べられない子どもにとっては「残すことを許されない地獄のような時間がまた始まる。全部食べたらシールをくれるとか嫌がらせとしか思えない!行きたくない!」と不登校になる例も実際存在します。

励ましたら食べられる子どももいますが、本当に食べられない子どももいます。

そこで専門職である栄養教諭が必要です。

 

残食調査の正しい使い方の例

残食率調査を行う

残食率の分母には欠席者を除く。ただし牛乳と欠席者を比べるので残本数は調査する。

事前に担任には周知しておくこと

  • 無理やり食べさせない
  • よく食べる子どもに食べさせすぎない
  • 少食や偏食を認める
  • 食べる子どもを過度に賞賛しない

 

残食率が高いクラスに訪問する

担任の学級経営をみます。

  • 配膳のルール作りができているか
  • おかわりのルールができているか
  • 給食を事前に減らすルールはできているか
  • 担任が給食時に他ごとをしていないか
  • 子どもは両足が地面についているか。(足を組む子どもは注意しているか)
  • 担任が給食を減らしたり、残したりしていないか。

などをチェックします。

残食率が低いクラスに訪問する

担任の学級経営をみます。

  • おかわりのルールができているか(特定の子どもが食べていないか)
  • 食べる子どもを過度に賞賛していないか
  • 全部食べたらシールをあげるなどの取り組みをしていて、食べられない子どもは居心地が悪くなっていないか

おかわりが多い子どもの成長曲線を判断する

気になる子どもの成長曲線(肥満度曲線)を書いてみて(または養護教諭からもらって)、肥満度の推移などに注目する。
学年が変わって急に肥満度が増えていたら担任が変わって、食べさせられている可能性があります。

残食調査は低いからよい、高いから悪いというように使うのではなく、一つのスクリーニング検査として活用するべきです。
つまり残食率が高いからこの学級はこの観点から見よう、といった感じに活用するとよいです。

残食調査を用いた給食指導の流れ

学校全体の把握(残食調査)

学級の把握(学級訪問)

個の把握(成長曲線)

のような流れで、子どもの食生活の改善につなげていくことが大切です。

 

残食率そのもので評価するのではなく、もっと深く考えて子供の個を見ましょう。

 

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