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給食場再編の裏側 栃木市の学校給食調理場再編事例より

更新日:

栃木市内の学校給食調理場が老朽化してきているのに伴い、再編されるようです。
パブリックコメントの資料も丁寧に作られているのですが、細かくみていくと疑問点があったので、説明していきます。

調理場再編の本当の理由

食育推進のために給食調理場を減らす?!

パブリックコメントに

「児童生徒数の変動や食育の推進等、学校給食の現状及び今後の動向等に合わせて、調理方式等を検討し、整備を進める必要があります」

という記述があります。

たぶんほとんどの給食場(給食センター)再編の目的に「食育の推進」という言葉がでてきます。

しかし、給食場を減らせば、100%「食育は減退します」

理由は簡単です。

給食場がなくなると、栄養教諭・学校栄養職員が配置されなくなるからです。

栄養教諭・学校栄養職員の配置基準は以下のようになります。

(人数は児童・生徒数)

学校給食単独調理校

550人以上の学校数×1

550人未満の学校数×1/4

共同調理場

1500人以下×1

1501人~6000人×2

6001人以上×3

文部科学省 教職員定数の算定について より

 

例えば児童数400人小学校給食場が3つあったとします。

この場合は配置基準により、栄養教諭・学校栄養職員は1人×3給食場で3人です。
この3つの調理場が再編した場合は1200食の給食場1つなので、配置基準により、栄養教諭・学校栄養職員は1人です。

つまり栄養士ベースで食育が1/3減退します。

栄養士がいなくても食育は推進できるという意見もありそうですが、食育をするのが本業の栄養士がいるのと、学校教育がメインで食育もする(かもしれない)教諭だけなのと、どちらが食育の推進になるでしょうか。

そもそも食育の定義があいまいなので、都合のいいように使われているのが現状です。

なぜ食育が減退しても給食場を減らす必要がある?

パブリックコメントの中にその記述があります。

経済的・効率的に給食が提供できる調理場

イニシャルコスト及びランニングコストに配慮していること

調理場の維持補修、経理事務、労務管理等が効率的にできること

ここに尽きます。

実際お金を出すのは教育局ではなく、知事部局(市長部局)なので、教育にそこまで関心がありません。

コスト削減が第一です。

少子化で財政がだんだん厳しくなるのはわかりますが、それなら「食育の推進」を先に上げるのではなく、正直に「コスト削減」と表記してもらいたいです。

そうなると保護者等の理解を得られなくなるかもしれませんが、だますのはよくありません。

栃木市学校給食再編の概要

調理場の現状

平成22年3月の1市3町の合併後、平成24年9月に栃木中央小学校給食共同調理場が開設。
平成26年9月には大平学校給食センターが開設。

再編の必要性

今後、老朽化が著しく、新基準に適合していない調理場については、計画的に整備。

児童生徒数の変動や食育の推進等、学校給食の現状及び今後の動向等に合わせて、調理方式等を検討し、整備を進める必要がある。

期間

平成30年度から栃木市公共施設適正配置計画(第1期)の最終年度である平成37年度までの8年間

方針

学校給食の目的である食育の推進を図り、衛生管理の徹底した安全・安心で栄養のバランスのとれたおいしい学校給食を提供する調理場の整備を図ることを目的とする。

栃木市が目指している学校給食調理場

① 安全・安心で衛生管理の徹底した調理場

ア 学校給食衛生管理基準に適合していること
イ 食物アレルギー対応が安全にできること
ウ 調理から喫食までの時間を短くでき食中毒の予防ができること
エ 感染症等が発生した場合、被害が大きくならないこと

② 栄養のバランスのとれた、おいしい学校給食を提供する調理場

ア 栄養のバランスのとれた学校給食を提供できること
イ 検収により食材の交換が必要な場合に迅速な対応ができること
ウ 栄養教諭等が配置されていること
エ 温かくておいしい学校給食を提供できること
オ 炊きたてのごはんが提供できること
カ 手作りの料理を提供できること

③ 食育・地産地消を推進する調理場

ア 学校の教育目標や行事に対応できること
イ 栃木市の特産品のいちごやぶどう等を提供できること
ウ 「食に関する指導の目標」(文部科学省 食に関する指導の手引(平成22 年))が達成できること

=食に関する指導の目標=

〇食事の重要性、食事の喜び、楽しさを理解する。【食事の重要性】
〇心身の成長や健康の保持増進の上で望ましい栄養や食事のとり方を理解し、自ら管理していく能力を身に付ける。【心身の健康】
〇正しい知識・情報に基づいて、食物の品質及び安全性等について自ら判断できる能力を身に付ける。【食品を選択する能力】
〇食物を大事にし、食物の生産等にかかわる人々へ感謝の心をもつ。
【感謝の心】
〇食事のマナーや食事を通じた人間関係形成能力を身に付ける。【社会性】
〇各地域の産物、食文化や食にかかわる歴史等を理解し、尊重する心をもつ。
【食文化】

④ 経済的・効率的に給食が提供できる調理場

ア イニシャルコスト及びランニングコストに配慮していること
イ 調理場の維持補修、経理事務、労務管理等が効率的にできること

具体的に廃止になる予定の給食共同調理場

栃木第三小学校給食共同調理場
国府北小学校給食共同調理場
岩舟小学校給食調理場
静和小学校給食調理場
小野寺南小学校給食調理場
小野寺北小学校給食調理場

参考元 栃木市 パブリックコメント

http://www.city.tochigi.lg.jp/hp/menu000017000/hpg000016965.htm

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